2023.09.01

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小学生から質の高い指導を提供し、生徒募集につなげましょう!(1)

日本の子どもたちの学力低下が叫ばれるようになってから、もうずいぶん経ちます。実際、塾の現場でも、中学2年生くらいで入塾してきて分数の約分や通分ができない生徒というのは、決して珍しい話ではありません。しかし、そんな生徒が中学3年生になって塾でめきめき成績を伸ばし、なんとか希望する高校に受かったというのもよくある話です。その原因は一体どこにあるのでしょうか。

どうやら学力低下の原因は、生徒の頭脳の問題ではなく、その環境の問題であるようです。そういった生徒は勉強の才能がなかったわけではなく、単に小学生のときにきちんとした指導を受けていなかったということが分かります。毎日小学校に通ってはいても、授業を聞いていなかったり、家で勉強していないかったりということです。小学生の内容とは言え、学校の授業だけでは十分に学力を身に付けることができない生徒が増えているのです。

 

子どもの学力格差と親の年収格差

学力の問題に関連して、ひとつ興味深い話があります。それは親の年収格差と子どもの学力格差の関係についてです。最新の調査によると、親の年収格差とその子どもの学力格差が、ほぼ比例しているという話です。親の年収が高い子どもほど学力レベルが高く、年収が低くなるにしたがって子どもの学力も下がってくるというのです。

ではなぜ親の年収が高いと、子どもの学力が上がるのでしょう。そんなに難しい話ではありません。親の年収が高いということは、親の教育に対する意識だけではなく、実際に教育にかける費用も高いということです。やはり早いうちから塾や家庭教師など、学校以外での勉強を多くしている子どもが、平均的に学力を伸ばしているということです。いまや学習塾は、本当に子どもの学力を伸ばしたい親のために必要不可欠な存在となっています。

 

小学生で進む通塾の低年齢化

ちなみに平成29年にとある企業が行った調査によると小学1年生の通塾率は27.6%で、平成19年に文部科学省が行った調査に比べて11.7ポイント増、2年生では26.0%(同6.7ポイント増)となっており、通塾の低年齢化が顕著になっています。ただし中学生では学習塾に通うのは51.9%で、同1.6ポイントの減少となっています。

通塾の低年齢化については、学習習慣を付けるために家庭が学習塾を利用しているのではないかと考えられます。一方、中学生は少子化が進み高校進学がしやすくなったことで、習い事をする時間的余裕ができたと分析できます。

いずれにせよ、通塾の低年齢化は進む方向にあり、また早いうちから塾に通っている生徒が学力を付けているというのは事実です。とすれば、これからの塾の方向性として、小学校低学年に目を向けることは、とても重要なことなのです。

 

小学生はこれからのメインターゲット

今度は塾の経営面から考えてみましょう。少子化・不景気・感染症の流行と、塾業界に暗い波がひたひたと押し寄せています。政治の舵取りは変わっても、景気がそうそう簡単に上向きに転じるとは、誰も信じていないのではないでしょうか。黙っていても生徒が増えるわけではなく、月謝が上がって収益が増えることもありません。であれば、まずは来年に向けて何か新しいアクションを起こすことが必要です。

塾が安定した経営をするためには、当たり前のことながら、収入源である月謝を納めてくれる生徒を増やすしかありません。もちろん、ほとんどの塾の先生方は生徒を増やすために、日々さまざまな努力をされていることでしょう。生徒の成績向上を目指して情熱ある授業を行い、一人ひとりを大切にした指導を行っていると思います。しかし、この不景気の中で本当の生徒を増やそうと思っても、今までと同じことをしているだけでは、そう簡単には増えてくれないというのも現実です。

ではこれからの安定した塾運営に向けて、どんなことができるのでしょうか。ここでご提案したいのが、低学年も含めた小学生の指導強化です。今も指導しているかもしれませんが、ここで提案しているのは、単なる中学生の予備軍としての小学生指導ではありません。低学年から高学年まで、それぞれに明確な指導コンセプトを設けた、またはっきりと学力向上を前提とした小学生指導です。

来年度に向けて小学生指導を見直し、さらに魅力あるコースを設定してみてはいかがでしょうか。そして、その上で低学年からの生徒募集を行うのです。実際ここ数年、すでに多くの大手塾が小学生をターゲットとした動きを強化しています。もちろん、小学生低学年ともなれば手間もかかるし、通塾率も中学生ほど高くはなく、募集も簡単ではありません。

しかし、単純計算してみれば中学1年生から3年生までの生徒に比べ、小学1年生から6年生までの生徒の方が人数は2倍です。ましてや低学年の通塾率が高まっているという追い風が吹いている中で、小学生の募集に力を入れない手はありません。小学生の指導を全体的に強化することで、真剣に低学年からの生徒募集をしてみましょう。

 

小学生から質の高い指導を提供し、生徒募集につなげましょう!(2)>>後半へ続く