2024.10.02

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~問題を解くことでしか合格力は育たない~ 適切な問題演習の実施で、生徒の得点力を高めましょう(1)

いよいよ本格的な受験指導の季節となりました。生徒や保護者のモチベーションはどんどん高まり、塾にとっても重要な時期の到来です。少子化が進み厳しさも増す環境の中、「わが子を志望校に」と願う保護者から選ばれる塾とは、どのような塾なのでしょうか。

選ばれる塾とは、「合格させてくれる塾」というだけではなく、「入試に向けて、しっかりと学力を高めてくれる塾」ではないでしょうか。期待していた以上に頑張らせてくれた、と思ってもらえる塾の姿とはどんなものか、今回は高校入試を例に考えてみたいと思います。

 

志望校の難度に応じた学習の必要性

高校入試だけには限りませんが、志望校の難度に応じてやるべき学習は変わってきます。だだからこそ、先生方にとって最も重要なのは「生徒の志望校に合わせて、学習の方針を決めること」だと言えます。まずは入試までに取り組むべき内容を、志望校の難度・教科の両側面から見ていきましょう。

 

①志望校の難度

トップ校を目指す生徒は、最終的には全国公立高校入試問題集など、実践問題に取り組む必要があります。問題集をひたすら解き、難度の高い問題までしっかり解けるまでのレベルにし、85~90点以上取れることを目指します。

二番手校を目指す生徒には、定期テスト~応用レベルの問題に取り組ませ、得意範囲の強化や弱点補強をしていくのが適切です。余裕があれば入試レベルの問題にも取り組ませ、60~70点を確保します。

平均点レベルの高校(三番手グループ)を目指す生徒には定期テストレベル、つまり基礎固めの徹底が必要です。まだまだ基礎に穴がありますので、無理に高いレベルの問題に手を出す必要はありません。着実に得点できる問題を増やしていき、50~60点が取れることを目標にします。

 

②教科

トップ校に合格するためには、5教科での高い総合力が勝負になります。苦手教科が1教科でもあると合格は多少厳しく、さらに2教科ともなると非常に難しくなってきます。トップ校を目指す生徒にとっては、苦手教科の補強が最優先となります。

二番手校に合格するためには、逆に得意教科が3教科あるというのが目安です。3教科で8割以上取れれば、他の教科で多少の失敗をしてもほぼ7割の得点を確保できますので、合格の可能性が高くなります。生徒は苦手教科ばかりを気にしがちですが、得点を稼げる教科を1つでも多く増やすことを第一目標にさせましょう。

そして三番手グループ校に合格するためには、1つでも得意だと言える教科をつくることが大切です。もちろん、もっとあるに越したことはありませんが、まずは伸びやすい教科の補強を徹底しましょう。

志望校に必要な得点をしっかり示しながら、生徒一人ひとりのやるべき学習計画に沿って受験指導を行うことで、地域での信頼度を上げることができるでしょう。合格するまできちんと面倒を見るというスタンスが地域との良好な関係を築き、コンスタントに生徒を集めることにつながります。

  

入試前の2か月は、ひたすら問題を解かせましょう

志望校合格に向かって、やるべき学習内容が決まったら、次は指導の形を考えてみましょう。合格実績を伸ばしている塾は「生徒に自分で学習させる」ことへの指導力に優れていると言えます。

 

講義では、入試のポイントに絞って解説

一斉指導や個別指導において、先生が生徒に教える“講義形式”の授業だけをする塾では、先生が丁寧に教えてくれるので、生徒は分かったつもりになり、先生に対する依存度ばかりが養われてしまいがちです。

教えられることに慣れてしまった結果、生徒は自分自身で考えて答えを見つけようとしなくなり、自分が分からないところがどこなのかを見失ってしまいます。よって、講義形式の授業だけでは生徒を合格に導くことは難しいでしょう。生徒が、それぞれの状況に応じた問題を何回も解く練習をしないかぎり、成績を伸ばすことも、学力を身に付けることもできないのです。

 

『演習指導』では、個々の状況に合わせた問題の解説

だからこそ、講義形式の授業に加え生徒が自主的に学習に取り組むことを目的とした、“自立型の演習”時間の設定が重要です。生徒一人ひとりが、志望校の難度に応じた問題集やプリントで問題演習をしていきます。

生徒が自ら解いて、分からないことに気づき、考えて改善する。そして本当に分からないところはどんどん先生に質問する。そして、それを続けることで自分なりの成功法則を導き出すことができるようになります。一生懸命考えて問題を解くことが、「分かった」という自信となり、一層のやる気に結び付きます。この習慣づけこそ、学力アップにつながるポイントです。

 

先生は生徒の演習をサポートするコーチ

大人でさえ、例えば仕事や子育ての場面において、自分一人でモチベーションを維持したり、間違いに気付いてそれを自ら改善したりすることには限界があります。さらに入試を間近に控えた生徒に、気になることや心配事、不安など、集中できないことがあるのは仕方のないことです。

そこで経験の豊富な先生が、はじめて入試に臨む生徒に次のようなコーチ的な役割を果たす必要があります。

・生徒のやる気を引き出し、さらには持続させるような声掛けをする
・生徒が自分一人で解決できない問題に、解決策を助言する
・生徒が不安になったときに大丈夫だと励ましたり、過去の卒業生も同様だと伝えたり、しっかりと支える

  

ここまでで、演習指導の効果、また先生が果たすべき役割はお分かりいただけたと思います。では実際のところ、レベル別の個別指導をどう実現させればいいのでしょうか?後半で、解説いたします!

 

~問題を解くことでしか合格力は育たない~ 適切な問題演習の実施で、生徒の得点力を高めましょう(2)>>後半へ続く