2024.11.01

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⽣徒・保護者を満⾜させる受験指導のポイント(2)

前編では、⽣徒と保護者に本当に満⾜してもらえる受験指導について、学校と塾でのアプローチの違いや、学習指導をするだけが受験指導ではないよ、という点についてお伝えしてきました。皆さまイメージができてきましたでしょうか。引き続き「⾼校⼊試に向けた中学3年⽣への対応」をテーマに、ここからはより具体的な受験指導の在り方について考えていきます。

⽣徒・保護者を満⾜させる受験指導のポイント(1)>>前半の記事はこちら

 

【受験指導に必須】⽣徒と保護者の⼼をつかむ三者⾯談とは

受験に向けての進路指導や学習相談では、⽣徒だけでなく積極的に保護者の⽅も交えて三者⾯談を⾏いましょう。受験でナーバスになるのは⽣徒だけではありません。保護者が受験に対して神経質になるあまり⽣徒まで不安になってしまい、勉強に⾝が⼊らないというのもよくある話です。

だからこそ受験に関する正しい情報を保護者に与え、まず保護者⾃⾝の不安を拭い去ることも、塾教師ができる⼤事な受験指導です。もちろん、ただ「⼤丈夫だから安⼼してください」と伝えるだけでは、保護者も納得しないでしょう。⽣徒の現状を分析して、今不⾜している点やこれからの勉強法、また塾での今後の受験指導の内容などをきちんと伝えることが⼤切です。その上で、「このやり⽅に沿ってこれから頑張っていけば、きっと⼤丈夫ですよ。ご家庭でも温かく⾒守ってやってください。私たちも精いっぱい応援します」といった声掛けをしていきましょう。このような⾃分の⼦どもに対する親⾝な姿勢を⾒て、保護者も塾の先⽣に信頼を寄せるようになるのです。

 

そして、もう⼀つ⼤切なことですが、⾯談の際には必ずその⽣徒の良いところを思いっきり褒めてあげましょう。褒める点は何も勉強のことだけとは限りません。「○○君は、塾に来たとき本当に明るく元気にあいさつしてくれるんですよ」「いつも明るくて本当に良い⼦ですね。友達の中でも⼈気者ですよ」といったことでもいいのです。⼤切なのは、先⽣がその⽣徒の良いところをしっかりと分かっていて、その⽣徒のことをとても気に掛けている、ということを伝えることなのです。そして相⼿を認めていくことから信頼関係が⽣まれていくのです。

 

保護者会では受験指導における具体的なデータの提示が大切

受験に関する情報提供の⼿段として、保護者会を実施する塾も多いかと思います。中学校からの受験に関する情報は案外少なく、⾃分の⼦どもが志望校に受かる可能性がどのくらいなのかという情報は、どの保護者も結局は塾から得るしかないというのが実情です。

保護者会を実施する際には、昨年の卒業⽣の模試データなどを参考に、例年の受験倍率などもしっかり調べ、できるだけ詳しい情報を保護者に提供しましょう。また、併願校の選び⽅や学校の様⼦などについても、できるだけ詳しく説明してあげましょう。「あの先⽣は受験に関して本当によく知っている」そんな評判が⽴てば、それはそのまま塾の評判として世間に広がっていきます。保護者会に参加できなかった保護者に対しても、詳しい資料などを郵送するなどして、確実に情報を提供することが⼤切です。

⼤⼿塾と個⼈塾で⽐較される点として、受験情報の量があります。⼀般にはどうしても⼤⼿塾の⽅がたくさんの受験情報を持っています。しかし、規模の⼩さな塾であっても毎年の卒業⽣の受験データや学校の進路指導の状況、⾼校の地域での評判などを提供していくことで、地域の信頼を勝ち得ていくことは、⼗分にできるのです。

 

感謝されない合格、感謝される不合格

受験が終わると、いよいよ合否の発表があります。もちろん塾の⽣徒全員が合格することが望ましいのは⾔うまでもありません。しかし、仮に全員が合格であったとしても、それが本⼈や保護者が望んでいなかった合格であれば、それは塾の先⽣への感謝にはつながりません。「本当は○○⾼校へ⾏きたかったんだけど、学校の先⽣もやめろと⾔ったし、塾の先⽣もそれでいいと⾔ったから仕⽅なく受けたんだ」などと⾔われたのでは、価値のない合格 ということになり、感謝もされません。

また逆に、不合格で数⽇はショックで泣き続けた⽣徒が後⽇保護者と⼀緒に、「先⽣のおかげで精いっぱい頑張ってチャレンジすることができた。併願校で頑張って、次の⼤学受験では絶対成功するからね」と塾にあいさつに来てくれるケースもあるのです。不合格という結果であっても、それまで応援し続けてくれた塾の先⽣への感謝となるのです。

⽣徒の⽴場に⽴って進路指導を⾏い、保護者に対しても正しい受験情報を提供し、学習指導だけでなく、精神的にも⽣徒を励まし続ける。そういった⾏動が、合格実績と共にいわば「感謝される不合格」として塾の評判を⾼めていくのです。

 

結果を⽣徒と⼀緒に受け⽌め、共に喜び共に泣くことも受験指導の1つ

⽣徒と⼀緒になって頑張ってきた受験。合格した⽣徒に対しても、残念ながら不合格で併願校への進学が決まった⽣徒に対しても、最後の仕上げとして、それまでの努⼒を称えてあげましょう。

合格した⽣徒には⼀緒になって喜び、また不合格になってしまった⽣徒には⼀緒になって悔し泣きをする。そんな接し⽅が⼤切です。特に不合格になった⽣徒に対しては、その保護者への対応も含め⼗分な配慮が必要です。合格者の喜びに気を取られて不合格者への対応がおろそかになることだけは絶対に避けなければいけません。

受験終了後には、⽣徒を集めてささやかなパーティーなどを開く教室もあるかもしれません。そんなときも結果ではなく、それまでの努⼒を精いっぱい褒めてあげましょう。受験の結果が⼤切なのではなく、受験を⼀つの⽬標として精いっぱい頑張ったことが⼤切であり、価値あることだということをしっかりと伝えてください。そんな思いは必ず⽣徒に伝わっていくはずです。

⼊試まで残された時間はあとわずかです。しかし、このわずかな時間で⽣徒や保護者に対して働きかけられることはたくさんあるはずです。⽣徒や保護者から感謝される受験を⽬指して、受験指導に取り組んでいってほしいと思います。