2024.08.01

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確実に成績を伸ばす! 『演習トレーニング』で負けない塾運営を目指せ(1)

経済産業省の統計によると、1年間に約800~1,000件程度の学習塾が何らかの理由で閉鎖しています。新規で立ち上がる塾もあるので一概に減っているとは言えませんが、生徒を増やせずに苦しい経営を強いられている教室は少なくないでしょう。しかし、そのような厳しい状況でも、毎年どんどん生徒を増やしている教室が数多くあるのも事実です。では、そういった教室はいったい何が違うのでしょうか。

理由はいろいろあると思いますが、一つはっきりしていることがあります。それは、生徒を増やしている塾では通っている生徒の多くが成績向上を実現し、それにより地域から高い評価を得ているということです。

『成績向上→高い評価→生徒が集まる→収益アップ…』という理想的なサイクルを目指すためには、何と言っても生徒の成績向上が欠かせません。では、そのために必要な指導とは、いったい何なのでしょうか。今回は成績向上をテーマに、これからの指導と塾運営を考えていきましょう。

   

成績が伸びないからと塾をやめさせる保護者たち

先日、駅の構内で耳に入ってきたのは、子どもを塾に通わせている保護者と思われる2人の女性の会話です。それは、「全然成績が上がらないから、塾を変えさせることにした」という内容でした。

塾の先生が聞けばドキっとする内容ですが、塾の最も重要な役割は成績を上げることですから、これは当然と言えば当然の話です。どんなに洒落たホームページや凝ったチラシで生徒を集めたとしても、成績を伸ばせなれば生徒たちは去っていってしまいます。

そしてさらに怖いのは、その保護者が周りの保護者に、「あの塾に通わせたけど、うちの子は成績が上がらなかった」と話してしまうことです。口コミは、生徒募集の生命線と言っても過言ではありません。こんな噂が広がれば、その塾に新たな生徒が入ってくることは殆どなくなってしまうでしょう。それを防ぐためにも、とにかく生徒の成績を上げなければなりません。それでは、そのために塾ができる最も効果的な指導とは何なのでしょうか。

実は、生徒の成績を伸ばすための最短の道とは、より良い授業に加え、徹底した“演習トレーニング”を実施することなのです。では、なぜ演習トレーニングがそれほど重要なのか、その理由をご説明します。

 

鍛えるべきは知識をアウトプットする能力

「授業は真面目に受けているのに成績が上がらない」、そんな生徒はよくいますよね。塾にはしっかり通ってくるし、普段怠けている様子もないのに、一向に成績が上がらない。実はその理由はとっても簡単で、授業は内容を頭に入れるインプットの作業、試験はそれを上手にはき出すアウトプットという、まったく別の作業だからです。

生徒にとって、授業と試験ではまったく種類の異なる作業をしなければならず、得点が上がらない生徒はアウトプットの作業に圧倒的に慣れていないのです。人間の脳は実に多くの情報を記憶することができます。例えれば、巨大な倉庫のようなものです。真面目に授業を受けていれば、荷物(=学習内容)は先生というベルトコンベアによって運ばれて、その倉庫にどんどん蓄積されていきます。これがインプットの作業です。

一方、試験では蓄積された荷物を、必要に応じて外に運び出して利用しなければなりません。これがアウトプットの作業で、蓄積されている内容が多いほど、作業は複雑になります。このアウトプットの作業を容易にするためには、普段からアウトプットの練習(=演習のトレーニング)を行い、その力を高めることが重要です。ですから、真面目に授業を聞くだけの生徒がテストで良い点を取れないのは、極めて当たり前の結果とも言えるのです。

 

結果につながる効果的な演習トレーニングとは

成績向上には演習が欠かせないということは前述の通りですが、より効果的な演習を行うためには、いくつか大切なポイントがあります。そのうち一つは、何度も繰り返して演習させるということです。

これは勉強以外のことで考えると分かりやすいと思います。例えば、初めてバレエを踊る人に、どんなに丁寧に踊り方を教えたとしても、たった一度練習しただけでは、決してその通りに踊れるようにはなりません。ひたすら地道に練習して、初めて上手に踊れるようになるのです。

そんなことは当たり前と思われるかもしれませんが、バレエだけでなくさまざまなスポーツだと浸透しているこの考えが、こと勉強になると忘れ去られがちになっています。勉強もバレエもスポーツもまったく同じで、いくら先生が問題の解き方を教えたとしても、練習(=問題を解くトレーニング)を繰り返さなければ、試験という本番では解けるようにはなりません。授業を聞いていて、何となく分かったつもりでも、試験になるとできないというのは、この繰り返し演習が不足しているからにほかなりません。

少し大げさかもしれませんが、問題を見たら鉛筆が勝手に動いてしまうくらい繰り返し解くことで、初めて学力として定着します。また解くためにかかる時間も短くなり、本番でもその実力を発揮できるようになるのです。

もう一つのポイントは、演習すべき内容を先生が明確に指示し、生徒を的確にリードすることです。生徒によっては、同じ問題を繰り返し解くことを嫌がるかもしれません。そんなときこそ、先生のリードが重要になってきます。

試験に出やすい問題、一度間違えた問題など、先生にはコントローラーとして生徒一人ひとりに的確な演習メニューを提供してほしいのです。教えることもさることながら、的確にしっかりと演習させることも、先生の重要な役割だと考えてください。

 

確実に成績を伸ばす! 『演習トレーニング』で負けない塾運営を目指せ(2)>>後半へ続く