2024.04.26

教室アピール

塾の人気は先生次第 ~大切な講師研修、こんな点に気を付けて!~

新年度が始まり2か月が経とうとしています。夏期講習の内容がそろそろ決まる時期となり、特に受験を控えた生徒を指導する先生方にとっても、ますます授業に力が入る大切な時期となってくると思います。そこで今回は、講師研修で押さえておきたい重要なポイントについて考えていきましょう。

 

塾のウリは、もちろん指導を行う先生

さて、学習塾にとって最も重要な売りは、何と言っても現場で生徒たちをグイグイ引っ張る先生方の指導力に他なりません。その売りである先生方の指導力を高めていくために、さまざまな塾がさまざまな形で、熱心に講師研修を実施しているのではないでしょうか。

そして、その講師研修が有効に機能していけば、経験の浅い講師であっても生徒や保護者からの信頼を十分に得て、地域の評判を勝ち取る塾としての強力な戦力となっていくのです。

 

ところが、最近このような話を耳にしました。ある大手塾の入社2年目の先生が、その塾の経営者にこんな相談をしてきたというのです。
「授業で自分が大切なポイントを説明しているのに、集中して聞いていない生徒がいた。仕方ないので無視していたら、最近は同じように人の話をまともに聞かない生徒が増えてきてしまった。どうしたらよいでしょうか」
といった内容でした。

経営者の方が驚いたのは、これが入社したばかりの新人講師ではなく、すでに入社して1年以上も教壇に立ち続けた講師からの相談だったという点です。
その経営者はすぐにその講師の上司を呼び、研修体制について質問したそうです。そこで返ってきたのは、「研修は新人時代からきちんと行っており、2年目の現在でも教科内容の説明の仕方など、定期的に研修を実施している」という答えだったそうです。

 

もうお気付きだと思いますが、この上司の方は研修の根本理念が間違っていたのではないでしょうか。講師は教科の内容を教えるのが仕事だから、教科内容をしっかり研修することが最も重要だと考えてしまっていたのです。そこして、生徒に対してリーダーシップを執るという教師としての基本中の基本であるはずの概念が、新人講師に対して教育できていなかったのではないでしょうか。

では、初期研修の大切なポイントは一体何でしょうか。勘違いしやすいポイントなども踏まえながら、考えていきましょう。

 

1.教科内容より先に、まず教師としての基本スタンスの研修を優先しましょう

教師として生徒の前に立つことを思えば、やはりどうしても、教科内容をしっかり身につけなければならないと考えるでしょう。しかし、教科の研修だけを優先して、教師としての基本スタンスを身に付けることを疎かにしてはいけません。それは最も危険なことであり、下手をすると先ほどのような、生徒から無視される教師をつくる原因となってしまうのです。

研修で最優先に行うべきことは、教師としての基本スタンスを身に付けることです。そのスタンスを自分のものとすることで、初めて生徒との位置関係が確立します。勉強であれスポーツであれ、人にものを教えるためには、まず先生と生徒という1対1の関係がきちんとできなければ始まりません。先生にいくら知識が豊富にあっても、生徒との立場やルールが確立していなければ、その知識は正常には伝わらないでしょう。

 

したがって、教師が初対面の生徒に授業で真っ先にしなければならないことは、自分と生徒との関係づくりであり、そのスタンスづくりなのです。具体的には、教師はまず生徒に対して完全にリーダーシップを執らなければなりません。もちろん単に高圧的に出ても生徒は言うことを聞きませんから、生徒が自分からその教師を指導者として認めるよう仕向ける必要があるのです。これは一斉指導であっても、個別指導であっても同じことでしょう。

では、そのためにはどのような研修が必要なのでしょうか。次の項目をヒントに、教室の基本スタンスづくりの研修を行ってみてください。教科内容の研修は、その後からじっくり行うことをお勧めします。

 

■講習研修で真っ先に行いたいこと

①教師らしさの演出

服装・姿勢・生徒に対する口調・保護者に対する口調など、どのようにしたら教師らしく見えるかということを教えることが大切です。『教師らしく見える』ことこそ、教師として最も基本的かつ重要なことではないでしょうか。

 

②教室内でのルールの確立

授業開始時や終了時のあいさつ、遅刻した生徒への対応やルールを守れない生徒への対応など、教室で常時行う決まりごとについて、その塾でのルールを教えましょう。新人教師もベテラン教師も、同じルールで生徒に接することが重要です。

 

③生徒への声の掛け方

上手な褒め方、上手な叱り方、上手な励まし方など、基本的な生徒への声の掛け方を練習させましょう。声を掛けるタイミングや声を掛けるときの表情まで含めて、実際に声を出して何度も練習することが大切です、教師の接し方ひとつで、生徒からの信頼度は大きく変わってきます。

 

2.授業以外での生徒対応、こんな点に気を付けましょう

勉強の苦手な生徒に対して、新人講師が熱心に補習を行ったり、余分に宿題を出したりして一生懸命に面倒を見たのに、結局その生徒は退塾してしまった。こんな経験をお持ちではありませんか。
勉強ができない生徒に補習をしたり宿題を出したりすることは、もちろん間違ったことではありません。では、なぜこのようなことが起こってしまうのでしょう。

この理由は簡単です。勉強ができない生徒は、当然その科目を苦手に思っています。はっきり嫌いだと思っている生徒も多いでしょう。その苦手な科目のために、授業後に居残りをさせられたり、あるいは余分に宿題を出されたりすれば、これは本人にとってありがた迷惑どころではなく、苦痛そのものとなってしまうかもしれません。
特に、まだ生徒との信頼関係ができていない新人教師が、本人の熱意のままにそういった苦痛を与え続けてしまえば、それが退塾という最悪の結果に結び付いてしまうのです。

これは、教育熱心なあまりに過干渉になって子どもを勉強嫌いにしてしまう親とよく似た状態とも言えるかもしれません。新人教師が本人の熱意で過度な補習や宿題を与えることがないよう、個別対応のバランスについても研修で教えておく必要があるのではないでしょうか。

 

そしてもう一つ、新人講師の生徒への個別対応で注意すべき点があります。それは、勉強のできない生徒に気を取られすぎて、優秀な生徒への対応が疎かになる場合があるという点です。例えば一斉指導の授業で、できない生徒ばかり気にして、その生徒に合わせたレベルとスピードで授業を進めたら、できる生徒はどう思うでしょうか。

『この塾の授業はレベルが低くて退屈だ』『この授業じゃ自分の役には立たない』、生徒にこんな風に思われたら、それこそ最悪の事態です。そして、仮にそのことが原因で生徒が退塾してしまったとしたら、塾の評判を大きく下げることに。当然、逆も然りです。
それでは、どのような点に注意して、生徒の対応を行えばよいのでしょうか。

 

■生徒の個別対応で注意したいポイント

①個別に生徒対応を行う場合、生徒への負荷を十分に考慮して対応方法・内容を決める

心配な場合には事前に上司や先輩にも相談して、適切な対応方法を決めましょう。また、実際に時間外に補習などを行う際には、必ず保護者にも事前連絡しましょう。教師の熱意のままに、安易に補習や宿題などの個別対応に走らないようにするのが重要です。

 

②勉強のできない生徒だけに目をとらわれ過ぎないようにする

普段の授業の中では、どうしても勉強のできない生徒や、やんちゃな生徒などの方に目が向きやすくなります。優秀な生徒や目立たない生徒への対応も意識的に行うよう心掛けましょう。特に授業のレベルを、特定のレベルだけに合わせてしまうことが無いように注意しましょう。

 

いかがでしょうか。もちろん、ほとんどの先生方にとっては当たり前のことばかりではないかと思います。しかし、経験の浅い新人講師の場合には、自分でも気付かずに間違った生徒対応をしてしまっているものです。

そういった新人講師を、一日も早く塾の重要な戦力とするためにも、積極的に質の高い講師研修を実施してみてはいかがでしょうか。