開校からわずか5年で1,000人規模の塾へと成長
eトレを使ったSTメソッドについて教えてください。
STメソッドというのは、S(正学館の個別指導)とT(トレーニング)を組み合わせた練習法という意味で私がつけた名前です。うちではeトレを使ったトレーニング授業のことを「塾トレーニング」通称「塾トレ」と名付けています。
「個別指導」+「塾トレ(eトレ)」で真の自立学習を目指す。それがSTメソッドです。基本は1対1~3の個別指導にプラスオプションとして塾トレ(eトレ)を受講させています。チラシを見ていただければ分かると思いますが、正学館としては、学力を伸ばす最高の方法は個別指導と塾トレのセットだと考えています。
個別指導だけでは自ら考える力はなかなか身に付きません。トレーニングとセットでやるからこそ本当の学力と自ら考え行動する習慣が身に付いていくのだと思います。
個別指導の講師の方々は、eトレの成績結果を毎回チェックしてから授業に入るのですか。
いいえ、eトレの成績表は保護者の方向けのものとして使っています。それとは別に、STメソッドでは一人ひとりに【振り返りシート】というものを作らせています。病院のカルテのようなものです。これを自分で書かせて、やらせっぱなしにならないよう気を付けています。自覚を持たせるために、あえて自分で記入させているのです。
- 何枚を目標にするか。結果、何枚できたか。学習目標は何か。
- ケアレスミスは何番目の問題か。復習したい問題は何番か。
- いつ、何枚復習するか。
- 何問中何問できたか。
- 満足度はどうだったか。
- 本日の感想と次回の目標。

先生が作るのではなく、生徒が自分で書くのですか。
全部自分で判断させています。自分で判断してシートに書くことで、自発的に考えるくせがつく。STメソッドが目指す「真の自立学習」です。
成績が上げるだけではなく、自立させるためにもeトレを活用しているのですね。
この振り返りシートを個別指導の授業に持っていくと、先生はその生徒の弱点がピンポイントで分かります。弱点は、個別指導でしっかりサポートします。
この振り返りシートが個別指導と塾トレの橋渡しをしているのですね。
eトレ導入当初から、これだけは気を付けないといけないと思っていました。「個別指導」と「塾トレ」のリンクをしっかりしないとただのプリント学習になってしまうということです。正学館ではしっかり連携を取っているので、本当に結果につながっていきます。

▲扇田昌利 代表
講習会などで、塾トレをどのようにお使いですか。
この夏は、演習を増やすための塾トレということで、通常の講習以外にたくさんのオプションコースを設定しました。eトレの学習計画テンプレート機能を最大限に駆使して、生徒のいろいろな要望に対応できるようなコースをたくさん設定しました。さまざまな学習計画のコースをテンプレートに登録しておき、そのコースを生徒に選択させる。この方法でどの校舎もうまくいきましたよ。
先生たちも喜んでeトレのテンプレートを作っています。今ではもう、『テンプレートがなかったらどうやって生徒にコースを勧めればいいんだろう?』と私自身も思っています。
講習での成果はいかがでしたか。
この夏期講習ではeトレとの組み合わせで普段は勉強できない科目もめいっぱい勉強した、という生徒が多かったですよ。この夏休み中だけで目に見えて学力を伸ばした生徒はたくさんいます。成績の上がった生徒を見ると、『自分でやった分だけ成績が上がるようになるんだ』という自信を身に付けたことが感じられます。そしてその自信こそ、本当にその生徒の財産になるんだとつくづく感じます。
来年の講習もこの形で継続していくご予定ですか。
いいえ、実は次のステップを考えています。普段から塾トレで効率良く苦手部分の洗い出しができているので、講習時に演習の量を増やすという従来の形から更に発展させることを考えています。演習量は日頃から十分に確保しているので、講習ではさらにその先の勉強を早めにやってしまおうかと。そして次学期になったときに、学校できちんと成績の結果を出させることで、それをまたこの塾の売りにしていければと思っています。
その他、将来的には生徒一人ひとりが自由に使える個人用タブレットを教室の全部の机に設置することも考えています。

講師の方々はeトレをどのように考えているのですか。
いくつかの校舎があってそれぞれの責任者がいるとなると、もちろんはじめは否定的な先生もいました。ある先生は「自分の講師としての仕事がなくなるのではないか」と心配していたようです。でも、講師の仕事がなくなるわけがありません。eトレで生徒の弱点がはっきりする分だけ、逆に個別指導で先生が教える仕事が増えるのです。
また、「プリントは家でやらせればいいんじゃないですか?」という先生もいました。でも面白いことに、その先生の教室ではこの夏、全生徒の7割以上が塾トレを夏以降も継続させることに成功して、今ではすっかり塾トレ推進派になっています。実際にeトレのチューターをやって感じたんじゃないでしょうか。生徒たちがあれだけ熱心にプリントを解きまくったんだから、それが実力につながらないはずがないということを。
7割も残すのはなかなか難しいのではないですか。なにか秘訣があるのですか。
その先生に、生徒にどんな話し方をしたのかと聞いたところ、『もう、塾トレをやるのは当たり前だから、「きみは何曜日にやるの?」という感じで聞いただけです。』ということでした。時には強引さも大切ってことですね。
実際の塾トレの時間はどんな様子ですか。
eトレを受講している生徒は小学4年生から高校3年生までいます。チェックテストだけは講師が丸付けをして、夏期講習の時などは同時に30人でやったこともありますよ。生徒もeトレの操作が分かっているので、チューターが忙しくしていれば生徒が手伝ってくれます。生徒は本当にみんな熱心に問題を解いてくれますよ。

最後に、経営的観点からみたeトレはいかがですか。
eトレは授業とは別コースのオプションですので、もちろんその分だけ利益は出ています。全6教室で運用していて、受講率は4~7割。基本は個別指導にプラスしたトレーニングというオプションで、料金は中2までは月8,000円で、中3は10,000円です。
生徒の成績を伸ばすためにeトレを勧める。生徒がeトレを受講すれば、生徒の成績が上がる。成績が上がれば生徒の自立心が強くなる。そしてもちろん、そのことで正学館の利益も上がります。正学館が目指す真の自立学習に、eトレは不可欠なのです。
eトレには本当に感謝しています。eトレを使うことで、生徒が自分から勉強する習慣が付くだけでなく、弱点の洗い出しも同時にできる。そしてそのことで、個別指導の時間もさらに有意義なものとなっています。今後もeトレはもっともっと活用していきたいと考えています。

2006年取材 (eトレTimes 2006年10月号掲載)