【上手な受験対応のポイント】
入試まであとわずか、生徒・保護者を満足させる指導とは

 2学期も中盤を過ぎ、これからが入試に向けての追い込みのシーズンとなってきます。子どもたちの将来に向けて、一人でも多くの生徒をそれぞれの志望校に合格させることは、塾の大切な役割の一つです。
 そして、努力して志望校に合格した生徒とその喜びを分かち合うことは、塾教師としても最高に幸せな瞬間であり、仕事の大きなやりがいを感じるところでしょう。入試を控えた小学6年生、中学3年生、そして高校3年生の指導に携わる先生方にとって、いよいよ指導者としての真価を問われるときとも言えるでしょう。

 何よりも重要なことは、そういった受験の合否結果そのものが、その塾に対する世間のはっきりとした評価の基準になり得るということです。とはいえ、必ずしも地域のトップ校の合格者が多いことだけが評価の対象になるわけではありません。塾によって指導の目的や生徒の学力レベルはさまざまであり、トップ校合格者は少なくても、常に地域から高い評価を得て、春の募集時期には毎年入塾待ちの生徒が出る塾もあります。逆に、多くのトップ校合格者を出しながらも、生徒や保護者との意思疎通に失敗して、「あの塾は進学実績稼ぎに無理な受験をさせる」といった悪い噂を立てられてしまうことさえあるのです。
 それでは塾の受験指導においては、一体どのようなことに気を付けていったらよいのでしょうか。生徒と保護者に本当に満足してもらえる受験指導について、具体的に考えていきましょう。入試に向けた対応といっても中学入試や高校入試、そして大学入試ではそれぞれ考え方も対応も大きく異なります。今回は、高校入試に向けた中学3年生への対応ということにテーマを決めて考えていきます。

学校の進路指導、塾の進路指導

 一般的に、志望校選択に関しては学校主体で進路指導が行われているようです。では塾として、どのような立場で進路指導を行えばよいでしょうか。
 考え方はいろいろあると思いますが、塾として学校とは別の立場から積極的に進路指導を行うことは、とても大切です。学校での一般的な進路指導は、どうしても生徒の学力に合わせて無理なく学校を割り振るといった安全第一の指導になりがちです。もちろん、そういった指導が悪いというわけではありません。
 しかし、本人や保護者の入試に対する意識や知識が低い場合、学校で勧められるまま安易な受験校選びをしてしまう生徒がいることも事実です。もしそのことによって生徒本来の実力や才能を損なうことがあったとしたら、やはりそれは問題です。判断材料としての受験データを示し、本人と保護者の意思を尊重した上で、学力や可能性を正しく評価しながら必要に応じて高い目標に向かわせる指導を目指しましょう。もちろん、志望校のレベルを上げればその分だけリスクも高まります。高い目標を設定して努力を続けても、結果的に不合格になってしまう場合もあります。
 とはいえ、安全第一の志望校選びとなれば、今度は本来の学力より1ランクも2ランクも下の高校を選ぶしかなくなるわけです。結局、リスクの伴わない受験というのはありえないのです。生徒や保護者が本当に納得して受験したのならば、高い目標に向けてチャレンジして、万が一不合格になったとしても、それは長い目で見た場合、必ずしもマイナスとは言えないのではないでしょうか。

 さて、塾の役割は受験校の決定に関わることだけではありません。学校での指導に対して本人や保護者が弱気になっていた場合には、大いに励まして自信を付けてあげることも大切です。推薦枠などで早々に合格が決まって気が抜けている生徒には、入学後の好スタートに向けての意識づけや、入学前に何を勉強したらよいかをアドバイスしてあげることも、大切な受験指導と言えるでしょう。
 いずれにせよ、未来を考えて本当にその生徒のためになる進路を生徒や保護者と一緒になって考えてあげることが、塾の立場での進路指導の基本と言えるのではないでしょうか。また、そういった親身な指導こそが、その塾の地域での評判を上げることにつながっていくのです。

まずは明確な目標設定 成績アップはモチベーションアップから

 受験指導を行う場合、早めに目標(志望校)を明確にさせることが重要です。目標が定まらないことには、目標に向けた努力も達成感もありません。受験指導においては、受験に向けた授業をするよりも前に、受験に向けた意識付けから始めなければなりません。
 確実に生徒全員の現在の志望校を把握し、もし志望校が明確でない生徒がいたら、早めに面談などで志望校を決定させましょう。本人の意思がはっきりしない場合には、とりあえず仮の目標でも構いません。生徒と一緒に将来のことを考えて目標を決めていくという作業の中で、塾の先生への信頼も高まっていくのではないでしょうか。

 目標がはっきりとしたら、それを短冊などに書いて教室やロビーに掲示するのも良い方法です。生徒の名前と本人の決意を書かせたり、「○○高校絶対合格!」などと生徒の名前は入れずに学校名だを書かせたりしても構いません。受験に向けての目標(志望校)を明確にし、生徒の受験に対するモチベーションアップを図ることが、受験指導の第一歩となります。また、この決意表明は受験学年以外の生徒に対しても、勉強への意識付けに役立ちます。

「君なら受かる」 信じて励ましてあげられるのが塾教師の特権

 受験指導に関して、学校の先生にはなかなかできない塾教師だけの特権があります。それは、「苦しくても君ならきっと受かるから頑張ってみろ」という励ましです。先にも述べたように、学校の役割には、生徒の進学先を上手に振り分けるという側面があります。志望校選択に際しても、「難しいけど頑張れ」というよりも、「難しいから別の学校にしよう」という指導になりがちです。

 しかし、塾の先生なら、安易に志望校を下げずに頑張らせるという指導ができるのです。もちろん、それは本人の気持ちを無視して無理な受験をさせるということではありません。出願直前まで高い目標に向けて努力をさせて、最終的に危ないと思えばその時点で志望校を変更しても構わないのです。早々に志望校を下げて楽な受験を決めてしまった生徒は、その時点から勉強に対する意欲を失い、楽に入れるはずの高校への合格すら危うくなることもあるでしょう。
 生徒にとって受験は精神的にもつらいものです。塾の先生の「頑張ってごらん。君ならきっと大丈夫だよ」という言葉は、何よりも大きな励ましになるでしょう。また、そういった励ましの言葉が、塾の先生への大きな信頼と、合格したときの感謝となって返ってくるのです。受験に向けた学習指導だけでなく、受験に向けた生徒への精神的フォローが、塾教師にできる大きな役割と言えるでしょう。

生徒と保護者の心をつかむ三者面談とは

 受験に向けての進路指導や学習相談では、生徒だけでなく積極的に保護者の方も交えて三者面談を行いましょう。受験に向けてナーバスになるのは生徒だけではありません。保護者が受験に対して神経質になるあまりに、生徒まで不安になってしまい、勉強に身が入らないなどということもよくある話です。
 受験に関する正しい情報を保護者に与え、まず保護者自身の不安を拭い去ることも、塾ができる大事な受験指導です。もちろん、ただ「大丈夫だから安心してください」と言うだけでは、保護者も納得しないでしょう。生徒の現状を分析して、今不足している点やこれからの勉強法、また塾での今後の受験指導の内容などをきちんと伝えることが大切です。その上で、「このやり方に沿ってこれから頑張っていけば、きっと大丈夫ですよ。ご家庭でも温かく見守ってやってください。私たちも精いっぱい頑張って応援します」といった声掛けをしていきましょう。そのような自分の子どもに対する親身な姿勢を見て、保護者も塾の先生に信頼を寄せるようになるのです。

 そして、もう一つ大切なことですが、面談の際には必ずその生徒の良いところを思いっきり褒めてあげましょう。褒める点は何も勉強の勉強のことだけとは限りません。「○○くんは、塾に来たとき本当に明るく元気にあいさつしてくれるんですよ」「いつも明るくて本当に良い子ですね。友達の中でも人気者ですよ」といったことでも構いません。大切なことは先生が、その生徒の良いところをしっかりと分かっていて、その生徒のことをとても気に掛けている、ということを伝えること。そうして相手を認めていくことから信頼関係が生まれていくのです。

保護者会では具体的なデータをもとに話しましょう

 受験に関する情報提供の手段として、保護者会を実施する塾も多いかと思います。学校からの受験に関する情報は案外少なく、自分の子どもが志望校に受かる可能性がどのくらいなのかという情報は、どの保護者も結局は塾から得るしかないというのが実情です。
 保護者会を実施する際には、昨年の卒業生の模試データなどを参考に、例年の受験倍率などもしっかりと調べ、できるだけ詳しい情報を保護者に提供しましょう。また、併願校の選び方や学校の様子などについても、できるだけ詳しく説明してあげてください。「あの先生は受験に関して本当によく知っている」そんな評判が立てば、それはそのまま塾の評判として世間に広がっていきます。保護者会に参加できなかった保護者に対しても、詳しい資料などを郵送するなどして、確実に情報を提供することが大切です。

 ところで、大手塾と個人塾で比較される点として、受験情報の量があります。一般にはどうしても大手塾の方がたくさんの受験情報を持っています。しかし、規模の小さな塾であっても毎年の卒業生の受験データや学校の進路指導の状況、高校の地域での評判などを提供していくことで、地域の信頼を勝ち得ていくことは、十分にできるでしょう。

感謝されない合格、感謝される不合格

 受験が終わると、いよいよ合否の発表があります。もちろん塾の生徒全員が合格することが望ましいのは言うまでもありません。しかし、仮に全員が合格であったとしても、それが本人や保護者が望んでいなかった合格であれば、塾の先生への感謝にはつながりません。「本当は○○高校へ行きたかったんだけど、学校の先生もやめろと言ったし、塾の先生もそれでいいと言ったから仕方なく受けたんだ」などと言われたのでは、価値のない合格ということになり、感謝もされません。
 また逆に、不合格で数日はショックで泣き続けた生徒が後日保護者と一緒に、「先生のおかげで精いっぱい頑張ってチャレンジすることができた。併願校で頑張って、次の大学受験では絶対成功するからね」と塾にあいさつに来てくれるケースもあります。不合格という結果であっても、それまで応援し続けてくれた塾の先生への感謝となるのです。

 生徒の立場に立って進路指導を行い、保護者に対しても正しい受験情報を提供し、学習指導だけでなく、精神的にも生徒を励まし続ける。そういった行動が、合格実績と共にいわば「感謝される不合格」として塾の評判を高めていくのです。

結果を生徒と一緒に受け止め、共に喜び共に泣く

 生徒と一緒になって頑張ってきた受験。合格した生徒に対しても、残念ながら不合格で併願校への進学が決まった生徒に対しても、最後の仕上げとして、それまでの努力をたたえてあげましょう。
 合格した生徒には一緒になって喜び、また不合格になってしまった生徒には一緒になって悔し泣きをする。そんな接し方が大切です。特に不合格になった生徒に対しては、その保護者への対応も含め十分な配慮が必要です。合格者の喜びに気を取られて不合格者への対応がおろそかになることだけは絶対に避けなければいけません。
 受験終了後には、生徒を集めてささやかなパーティーなどを開く教室もあるかもしれません。そんなときも結果ではなく、それまでの努力をたくさん褒めてあげましょう。受験の結果が大切なのではなく、受験を一つの目標として精いっぱい頑張ったことが大切であり、価値あることだということをしっかりと伝えてください。そんな思いは必ず生徒に伝わっていくはずです。

 入試まで残された時間はあとわずかです。しかし、このわずかな時間で生徒や保護者に対して働きかけられることはたくさんあるはずです。生徒や保護者から感謝される受験を目指して、受験指導に取り組んでいってほしいと思います。

【今月のeトレ学習】
≪中学生向け≫問題文から要点や本質を見つけるトレーニング!

 12月となり、高校受験まで刻一刻と迫ってきています。限られた試験時間を有意義に使うには、ただ「解く」だけでなく解答時間を意識した入試に向けてのトレーニングが必要です。
 そこで今回は、冬から間に合う入試攻略に向けたeトレプリント活用法をご紹介します。

「ラーニング」プリントで「思考力」トレーニング

eトレの各単元には、要点を分かりやすく解説した「ラーニング」というプリントが付いています。
このプリントの文章を読み進めることで、一つずつ理解を深めるトレーニングができます。
自分で解き進め、分からなければラーニングに戻ることができるので、自力で答えを見つけ出す思考力の育成につながります。

1.文章を読む力を養う

生徒は自動的に文章を読むことに慣れていき、読むスピードも上がります。

2.表やグラフを読み取り、考える力を鍛える

ラーニングプリントには、図や表を使った説明が多いです。
そのため、基礎事項や重要事項を、図や表と関連させて理解していく力を強化します。

3.要点や本質を見つけ、理解する力が身に付く

入試では、長い問題文から必要な情報を素早く読み取り、処理することが求められます。
この力もeトレで繰り返し学習する中で自然に鍛えられます。

入試頻出傾向にある「活用型」問題にも対応

近年の公立高校入試頻出の「活用型」問題では、文章を正確に読み理解し、その上で自分の知識を応用する力が求められます。eトレの「公立高校入試対策 活用・思考力」分野では中学5教科に対応しています。全国の公立高校の過去問をもとに、幅広い出題形式を網羅しています。